吉見百穴（よしみひゃくあな）とは
吉見百穴（よしみひゃくあな）は、埼玉県比企郡吉見町にある、古墳時代後期（6世紀末から7世紀後半）に造られた横穴墓群の遺跡です。
この遺跡は、凝灰岩の岩山に多数の穴が空いており、日本で最も大規模なものとされています。
現存する穴の数は219個で、各横穴には古墳と同様の台座状構造があり、そこに棺桶が安置されていたとされます。
これらの穴には家族単位で葬られたものと考えられています。
遺跡の一部には、ヒカリゴケが自生している穴があり、これは関東平野におけるヒカリゴケの自生地として非常に貴重で、国の天然記念物に指定されています。しかし、近年は乾燥化が進み、ヒカリゴケが減少しているため、保存対策が行われています。
1923年（大正12年）3月7日に国の史跡に指定された吉見百穴は、2020年現在、一般公開されており、有料で見学することができます。この遺跡は、その特異な外観と歴史的重要性から、地域を代表する史跡として知られています。
吉見百穴の発掘と歴史
- 江戸時代には既にこの穴に関する記録が存在していましたが、その正体については不明でした。
- 明治20年（1887年）に6か月間にわたる全面調査が行われ、237基の横穴が発見されました。当初、学会内では「コロボックル（アイヌの伝説に登場する小人）居住説」と「墳墓説」に分かれて論争がありましたが、最終的には6世紀末から7世紀後半の古墳時代に作られた横穴墓という説に落ち着きました。
構造と特徴
- 吉見百穴は、凝灰岩の岩山に多数の穴が空いていることが特徴です。このような遺跡としては日本で最大の規模を誇ります。穴の入り口は直径約1メートルで、内部はもう少し広くなっています。
- 古墳の多くは、盛り土をした中に1つだけ埋葬する墓室がある構造ですが、吉見百穴は時代の流れと共に集合墳墓の形式で埋葬するようになり、岩山に穴を空けて埋葬するスタイルに変化しました。
- 穴の並び方には、西側から東側へ行くに従って整ったり、不規則になる場所もあります。大きな穴を中心にグループを形成する穴も存在します。
第二次世界大戦時の影響
- 第二次世界大戦中、日本本土空襲が本格化すると、軍需工場が爆撃されることから、吉見百穴の岩山内に軍需工場が建設されました。以前はこの軍需工場跡の洞窟の一部が一般公開されていましたが、現在は崩落の危険があるため、一般公開はされていません。
これらの情報を総合すると、吉見百穴は古墳時代後期に造られた横穴墓群であり、その特異な外観と歴史的重要性から、地域を代表する史跡として知られています。また、遺跡の変遷を通して日本の歴史の一端を垣間見ることができます。
アクセス・営業時間について
- 所在地：埼玉県比企郡吉見町大字北吉見324
- 営業時間：8:30〜17:00
- 定休日：年中無休
- アクセス方法：
- 公共交通機関：東武東松山駅から川越観光バス鴻巣免許センター行きに乗り、約5分で百穴入口下車、そこから徒歩約5分
- 車：関越道東松山ICから国道254号を経由し、車で約15分
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